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第1章 Google Workspaceの概要とアプリケーション共通の基本事項

Google Workspaceの概要

Google Workspaceは、Googleが提供するビジネス向けサービス群です。 MicrosoftのOffice製品群に相当し、基本的にWebブラウザー上で利用します。 基本機能は無料で利用でき、ビジネスのみならず、大学の授業、サークル活動などでも広く使われています。

以下にGoogle Workspaceに含まれる主なアプリケーションを示します。

  • Googleドライブ:ファイルの管理、共有、WindowsのExplorerに相当
  • Googleドキュメント:文書編集、Microsoft Wordに相当
  • Googleスプレッドシート:表計算、Microsoft Excelに相当
  • Googleスライド:プレゼンテーション、Microsoft PowerPointに相当
  • Googleフォーム:アンケートなどのフォーム作成、Microsoft Formsに相当
  • Gmail:メールを中心にコミュニケーション関連機能へのアクセスを提供、Outlookのメールに相当
  • Googleカレンダー:日程管理、調整、予定共有、Outlookのカレンダーに相当
  • Google Meet:オンライン会議、Microsoft Teamsの一部機能に相当

推奨環境

スクリーン・リーダーを用いてGoogle Workspaceを利用する場合、本ガイドでは以下の環境を推奨しています。

  • スクリーン・リーダー:NVDAまたはJAWS for Windowsの最新版 -- Webブラウザーの最新版への対応が早く、最新のWeb技術にも対応しています。
  • Webブラウザー:Google Chrome、Mozilla Firefox、Microsoft Edge -- 基本的にはGoogle Chromeを推奨します。

本ガイドでは、NVDAとGoogle Chromeを前提として説明します。 JAWS for Windowsや他のWebブラウザーで利用する場合の主な違いについては、本章で後述します。

Google Workspaceを利用する上で知っておきたいNVDAの設定と機能

NVDAキー

NVDAでは、様々なNVDAの機能を実行するために「NVDAキー」と呼ばれるキーを使用します。 これは、初期設定ではInsertキーに設定されています。 また、NVDA日本語版の初期設定では、無変換キーもNVDAキーとして設定されています。

例えば、NVDAに関するメニュー(NVDAメニュー)を表示する場合には、このNVDAキーを押しながらNキーを押します。 本ガイドでは、このようなキー操作をNVDA + Nのように表記します。

起動ショートカット・キーの設定

NVDAの標準的なインストールを行った場合、Ctrl + Alt + NがNVDAの起動ショートカット・キーとして設定されます。 しかし、このキーの組み合わせはGoogleドキュメントなどで比較的頻繁に利用する必要があります。 そのため、NVDAの起動ショートカット・キーをCtrl + Alt + Nから、例えばCtrl + Shift + Nなど、他のキーに変更することをお勧めします。

以下に、NVDAの起動ショートカット・キーを変更する手順を示します。

  1. Windowsキー + Dキーを押下してデスクトップを表示
  2. デスクトップでNVDAのショートカットを選択
  3. コンテクスト・メニュー※から「プロパティ」を選択(ショートカット・キーはAlt + Enter)
  4. Tabキーを押下して「ショートカットキー」の欄に移動して、適当なキー(例:Ctrl + Shift + N)を押下
  5. Tabキーの押下でOKまで移動してEnterキーを押下

※コンテクスト・メニューは、一般に右クリックメニューと呼ばれるもので、Shift + F10や、アプリケーションキーと呼ばれることもあるキーの押下で表示できます。

NVDAの設定変更

以下の設定は、いずれもNVDAメニューの「設定」から開く画面で変更します。 設定の変更後、NVDA + Ctrl + Cキーを押下すると、変更した設定を保存できます。

自動フォーカス・モードの設定

後述するフォーカス・モードとブラウズ・モードの予期せぬ切り替えを抑制するため、自動フォーカス・モードに関連する設定を以下のように変更します。

  1. NVDAメニューを開く(NVDA + N)
  2. 「設定」を選択(Pキー)
  3. 「設定」を選択(Sキー)
  4. 設定ダイアログの「カテゴリ」プルダウンで「ブラウズモード」を選択
  5. Tabキーを押下して「フォーカスの変化を追跡する自動フォーカスモード」、「テキストカーソルの移動を追跡する自動フォーカスモード」、「可能な場合に自動的にフォーカスを移動」に順に移動して、それぞれののチェックを外す
  6. TabキーでOKまで移動してEnterキーを押下

入力ジェスチャーの追加

Google Workspaceの各種アプリケーションを含め、最近のWebアプリケーションでは、ページ内にタブを模したユーザー・インターフェースが表示されることがあります。 タブについては、後述するGoogle Chromeの項で簡単に説明していますが、見た目や一部の操作方法について、Webブラウザーのタブに類似したもので、別のWebページに移動することなくそのWebページの一部について表示内容を大きく切り替えられるようにする場合に用いられます。

Webアプリケーションを利用していると、しばしばこのようなタブを見つけて行う操作が必要になりますが、NVDAにはタブを見つけて移動するための入力ジェスチャー(ショートカット・キー)がデフォルトで設定されていません。 以下の手順で、タブを見つけて移動するための入力ジェスチャーを追加しておくと便利です。 なお、ここではYキーとShift + Yキーをそれぞれ次のタブと前のタブに移動するための入力ジェスチャーとして追加する例を示しますが、もちろん他のキーでも問題ありません。

  1. NVDAメニューを開く(NVDA + N)
  2. 「設定」を選択(Pキー)
  3. 「入力ジェスチャー」を選択(Nキー)
  4. 開いたダイアログのツリービューで、上下矢印キーを使って「ブラウズモード」を選択
  5. 右矢印キーで「ブラウズモード」の項目を展開
  6. 下矢印キーで「次のタブに移動」を選択
  7. Tabキーを押下して「追加」ボタンに移動してEnterキーを押下(ショートカット・キーはAlt + A)
  8. 「入力ジェスチャーの登録」という読み上げが聞こえたら、Yキーを押下
  9. このキーをどのキーボード配列で有効にするかを選択するメニューが表示されるので、上下矢印キーで「キーボード、すべての配列」を選択してEnterキーを押下
  10. 下矢印キーを何度か押下してで「前のタブに移動」を選択
  11. 上記の手順7~9と同様に、Shift + Yキーを前のタブに移動するための入力ジェスチャーとして追加
  12. Tabキーを押下してOKまで移動してEnterキーを押下

フォーカス・モードとブラウズ・モード

NVDAには、フォーカス・モードとブラウズ・モードという2つのモードがあります。 ブラウズ・モードは、Webブラウザーなどの一部のアプリケーションで利用できるモードで、通常はフォーカス・モードで動作します。

フォーカス・モードとブラウズ・モードの最も重要な違いは、キー操作の対象が異なることです。 フォーカス・モードでは、基本的にキー操作は利用中のアプリケーションやWindowsに対するものとして扱われます。 一方、ブラウズ・モードでのキー操作は、Webページ閲覧などのためにNVDAが提供している各種機能を利用するためのものとして扱われます。 Webブラウザー利用時には、フォーカス・モードとブラウズ・モードを柔軟に切り替えながら使う必要があります。

Webページを閲覧している場合、基本的にはブラウズ・モードの機能を活用して内容を確認しながら、必要に応じてフォーカス・モードに切り替えて操作を行います。 フォーカス・モードへの切り替えが必要になるのは、フォームの入力を行う場合やアプリケーションを操作する場合などです。

本ガイドで取り上げるGoogle Workspaceの各種アプリケーションでは、多くの操作をフォーカス・モードで行います。 ただし、アプリケーションが表示するダイアログの内容を確認する場合などにはブラウズ・モードに切り替える必要があります。 状況に応じて、フォーカス・モードとブラウズ・モードを柔軟に切り替えながら使うことが重要です。

フォーカス・モードとブラウズ・モードの切り替えは、NVDA + スペースキーで行います。

参考:JAWS for Windowsでは、仮想PCカーソル・モードがブラウズ・モードに、フォーム・モードがフォーカス・モードに相当します。

マウスの移動

Google Workspaceの各種アプリケーションに限らず、Webページや様々なアプリケーションでは、マウス・ポインターが画面上の特定の場所に移動されたときに表示が変化するような仕組みが多く使われています。 そのため、マウス・ポインターがある位置が影響して、画面上の表示や特定の要素の挙動が予期しないものになることがあります。

Google Workspaceの各種アプリケーション利用時にも、例えば特定のメニューを開いた際などに予期しない動作が発生する場合、マウス・ポインターの位置が影響している可能性が考えられます。 このような場合、マウス・ポインターを画面上の別の場所、例えばGoogle Chromeのアドレス・バーに移動することで、問題が解消されることがあります。

以下の手順で、マウス・ポインターをGoogle Chromeのアドレス・バーに移動できます。

  1. Ctrl + Lを押下してアドレス・バーにフォーカスを移動
  2. NVDA + テンキーの/(ラップトップ配列ではNVDA + Shift + M)を押下して、マウス・ポインターをアドレス・バーに移動

おさえておきたいGoogle Chromeの基本事項

Google Chromeのウィンドウの構成

Google Chromeのウィンドウは、主に次の3つの構成要素からなります。

  • コンテンツ表示領域
  • ツールバー
  • タブバー

これらの構成要素の間はF6やShift + F6の押下で移動できます。

以下、これらの構成要素について説明します。

コンテンツ表示領域

ウィンドウの大部分を占める、Webページの内容を表示する領域です。 タブバーやツールバーにフォーカスがあっても、Ctrl + F6の押下でコンテンツ表示領域に移動できます。

ツールバー

ウィンドウの上部に表示されるツールバーです。 Chromeメニュー、アドレス・バー(正式名称は「オムニボックス」、検索バー、拡張機能のアイコンなどが配置されています。

Ctrl + Lを押下すると、アドレス・バーに移動できます。 アドレス・バーに検索語を入力してEnterキーを押下すると、デフォルトの検索エンジンで検索が実行され、検索結果のページに移動します。 また、特定のページのURLを入力してEnterキーを押下すると、そのページに移動します。 Enterキーの代わりにAlt + Enterキーを押下すると、検索結果や移動先のページが新しいタブで開かれます。

Alt キーを押下すると、Chromeメニューに移動できます。 Chromeメニューに移動した上で、左右矢印キーを用いると、ツールバーの各項目に移動できます。

タブバー

ウィンドウで開いているタブのタイトルが並んでいる領域です。 左右矢印キーでリスト中を移動して、Enterキーの押下でそのタブに移動できます。 Ctrl + 左右矢印キーの押下でタブの順番を並べ替えることができます。 タブの名前の上でコンテクスト・メニューを表示すると、タブに対して可能な操作の一覧が表示されます。

ウィンドウとタブ

Webブラウザーで複数のページを同時に開いて閲覧する場合、以前はページ毎にWebブラウザーのウィンドウを開くのが一般的でした。 この場合、Alt + Tabキーの押下でウィンドウ間を切り替えることができますが、同時に開いているページが多いとその数だけウィンドウの数も増えますので、切り替え操作が煩雑になります。

最近では、1つのウィンドウの中で複数のページを開いて表示する、「タブ・ブラウジング」と呼ばれる機能を用いることが一般的になりました。 タブ・ブラウジングでは、1つのウィンドウ内に複数のタブが表示され、タブを切り替えることで異なるページを表示できます。 上述の通り、タブバーを使うと表示しているタブの切り替えやタブに対する様々な操作を行うことができます。

また、必要に応じて別のウィンドウを開き、そのウィンドウ内で別のタブを開くこともできます。 関連する複数のページ(タブ)を1つのウィンドウにまとめるというような使い方ができます。

タブの切り替えには、タブバーを使う方法に加えて、以下の方法があります:

  • Ctrl + TabまたはCtrl + Page Down:次のタブに移動
  • Ctrl + Shift + TabまたはCtrl + Page Up:前のタブに移動
  • Ctrl + 1~8:1番目から8番目のタブに移動
  • Ctrl + 9:最後のタブに移動

また、以下にタブやウィンドウの操作でよく使うキー操作を示します:

  • Ctrl + T:新しいタブを開く
  • Ctrl + WまたはCtrl + F4:タブを閉じる
  • Ctrl + Shift + T:最後に閉じたタブを再度開く
  • Ctrl + N:新しいウィンドウを開く
  • Alt + F4:ウィンドウを閉じる

閲覧中のページでのリンクに対する操作

閲覧中のページでのリンクに対する操作には、以下のようなものがあります:

  • Enter:同じタブでリンク先に移動
  • Ctrl + Enter:新規タブでリンク先を表示
  • Shift + Enter:新規ウィンドウでリンク先を表示

また、リンク上でコンテクスト・メニューを表示すると、リンクに対して可能な操作の一覧が表示されます。

重要:ウィンドウは最大化して使う

多くのWebサイトは、ブラウザーのウィンドウ・サイズに応じて表示を変えるようになっています。 最大化していないと表示されない項目があるなど、想定通りにサイトの機能を利用できないことがありますので、常にウィンドウを最大化して使うことをお勧めします。

ウィンドウの最大化は、Alt + スペースキーを押下して表示されるメニューでXを押下するか、Windowsキー + 上矢印キーを押下して行えます。

Googleドキュメント、スプレッドシート、スライド利用時に必要な初期設定と共通の操作

ここでは、Googleドキュメント、Googleスプレッドシート、Googleスライドを利用する際に必要な初期設定と、これらのアプリケーション共通の操作について説明します。

スクリーン・リーダーを使うための設定

Googleドキュメント、スプレッドシート、スライドをスクリーン・リーダーで利用するためには、これらのいずれかのアプリケーションを初めて開いた際に、スクリーン・リーダーのサポートを有効にする必要があります。

スクリーン・リーダーのサポートを有効にするには、フォーカス・モードで以下のいずれかの操作を行います:

  • スクリーン・リーダーのサポートを有効にする:Ctrl + Alt + Zを押下 -- 「スクリーンリーダーのサポートが有効になっています。」と読み上げられます。
  • 点字表示を有効にする:Ctrl + Alt + Hを押下 -- 「点字表示を有効にしました。」と読み上げられます。

点字ディスプレイを利用する場合は、点字表示を有効にしてください。 点字表示を有効にせずにスクリーン・リーダーのサポートのみを有効にした場合、全体的に動作が軽快になりますが、点字ディスプレイには適切に情報が表示されません。 音声のみを利用する場合、点字表示を有効にする必要はありませんが、点字表示が有効になっている方が分かりやすい読み上げがされる場合もあります。

このいずれかの設定が有効になっている状態では、Googleドキュメント、スプレッドシート、スライドのメニューバーに、「ユーザー補助機能」という項目が表示されます。 もしこの項目が表示されていない場合は、スクリーン・リーダーのサポートまたは点字表示を有効にする操作をもう一度行ってください。

なお、スクリーン・リーダーのサポートが無効の状態で点字表示を有効にする操作を行うと、スクリーン・リーダーのサポートと点字表示の両方が有効になります。 また、点字表示が有効な状態でスクリーン・リーダーを無効にする操作を行うと、点字表示とスクリーン・リーダーのサポートの両方が無効になります。

アプリケーション画面内での移動

以下の操作は、すべてフォーカス・モードで行います。

Alt + Fを押下すると、メニューバーのファイル・メニューに移動します。 また、メニューバーの他のメニューへの移動も、Altキーとそのメニューのショートカット・キーを組み合わせて行えます。 なお、Mozilla Firefoxの場合は、Altの代わりにAlt + Shiftを使います。 (例:Alt + Shift + Fでファイル・メニューに移動)

メニューバーの操作は、基本的にWindowsの一般的なアプリケーションと同様で、左右矢印キーを使ってメニューバー上を移動し、Enterキーの押下でメニューを開きます。

メニューバーにフォーカスがあるときにTabキーを押下すると、ツールバーに移動します。 ツールバー上での操作も、基本的にはWindowsの一般的なアプリケーションと同様で、左右矢印キーを使ってツールバー上を移動し、Enterキーの押下でツールバーのボタンを押します。

メニューバーやツールバー、コンテンツの編集領域以外の操作をする場合は、Ctrl + Alt + ,とCtrl + Alt + .を使って、それぞれ前の項目と次の項目に移動します。 このような場合、ブラウズ・モードで操作を行うほうが便利なこともあります。

ショートカット・キー一覧の表示

Google Workspaceの各種アプリケーションでは、フォーカス・モードで ? (Shift + /)または Ctrl + / の押下で、ショートカット・キー一覧が表示されます。 表示された内容は、ブラウズ・モードに切り替えて確認します。 アプリケーションによっては、より詳しいショートカット・キー一覧を掲載したページへのリンクが提供されていますので、必要に応じてそのページを参照してください。 確認が終わったら、Escキーを押下して、ショートカット・キー一覧を閉じます。

保存と履歴

Googleドキュメント、スプレッドシート、スライドでは、変更は常に瞬時に保存されるため、明示的な保存操作は不要です。 また、細かく変更履歴が残っているため、少し前の状態に簡単に戻すことができます。