Googleドキュメントは、Google Workspaceで提供されている文書作成のためのアプリケーションです。 基本的な文書作成に加えて、表や図の挿入機能や、複数のユーザーでの共同編集機能など、様々な機能が提供されています。
Googleドキュメントには、https://docs.google.com/からアクセスできます。 このページには、最近利用した文書の一覧などが表示されますが、実際の利用に当たってはGoogleドライブから文書を開いたり新規作成をしたりするほうが便利な場合が多いでしょう。
Googleドキュメントの画面は、主に以下の要素から構成されています。
- メニューバー
- ツールバー
- 編集領域
以下、それぞれの要素について説明します。
画面上部に表示されていて、「ファイル」、「編集」、「表示」などのメニューが並んでいます。 Alt + Fを押下すると、ファイル・メニューにフォーカスが移り、左右矢印キーで他のメニューに移動できます。 上下矢印キーで、そのメニューの中の項目を選択できます。
ツールバーは、メニューバーの下に表示されていて、よく使う機能のアイコンが並んでいます。 ほとんどの機能はメニューバーから実行したりショートカット・キーを使って実行したりすることができます。
ツールバーのアイコンを利用する場合は、まずメニューバーにフォーカスを移した後にTabキーを押下して、ツールバーにフォーカスを移してください。 その上で、左右矢印キーでアイコンを選択し、Enterキーの押下で実行できます。
編集領域は、画面の中央部分に表示されている文書の内容を編集するための領域です。 ここにテキストなどを入力します。
編集領域でのテキストの編集操作は、一般的なテキスト・エディターと同様です。 フォーカス・モードになっていることを確認した上で、入力やカーソル移動などを行えます。
テキストの選択も、Shiftキーを押しながら矢印キーを押して行います。 また、コピー、切り取り、貼り付けも、一般的なテキスト・エディター同様、Ctrl + C、Ctrl + X、Ctrl + Vで行えます。
書式の変更は、メニューバーの「表示形式」(ショートカット・キーはAlt + O)から行えます。
表示形式の中の「テキスト」にある「太字」や「斜体」、「下線」などの書式は、選択したテキストに対して適用されます。 その他の書式の多くは、選択されている箇所、またはカーソルがある行に対して適用されます。
書式の適用は、メニューバーから実行することもできますし、ショートカット・キーを使って事項することもできます。 ショートカット・キーは、Ctrl + / を押下すると一覧を表示できますので、参考にしてください。
テキストに適用されている書式を確認するには、Ctrl + Alt + A Ctrl + Alt + Fを押下します。 カーソルがある文字の書式情報が読み上げられます。
誤った書式を適用してしまったような場合は、Ctrl + \の押下で書式をクリアできます。
以下に、特によく使う書式について紹介します。
その文書のタイトルを設定するための書式です。
メニューバーから、以下の順に選択して適用します。
表示形式→段落スタイル→タイトル→「タイトル」を適用
見出しには、レベル1から6までの6種類があります。 一般に、文章の階層構造に応じて適切なレベルの見出しを用いることが推奨されます。 例えば、章のタイトルにはレベル1、節のタイトルにはレベル2、項のタイトルにはレベル3を使うといった具合です。
メニューバーから、以下の順に選択して適用します。 (Nは見出しレベルを示す1から6までの数字)
表示形式→段落スタイル→見だしN→「見出しN」を適用
見出しの適用はショートカット・キーで行うこともできます。 Ctrl + Alt + 1からCtrl + Alt + 6の6つのショートカット・キーが、それぞれ見出しレベル1から6に対応しています。
以下の3種類の箇条書き(リスト)があります。
- 番号無しの箇条書き
- 番号付きの箇条書き
- チェックリスト
行頭に半角のアスタリスク(*)とスペースを書くと、番号無しの箇条書きが始まります。 Ctrl + Shift + 8でも番号無しの箇条書きを始めることができます。
行頭に半角の「1.」とスペースを書くと、番号付きの箇条書きが始まります。 Ctrl + Shift + 7でも番号付きの箇条書きを始めることができます。
行頭に半角の「[]」とスペースを書くと、チェックリストが始まります。 Ctrl + Shift + 9でもチェックリストを始めることができます。 チェックリストの項目上にカーソルがある状態でCtrl + Alt + Enterキーを押下すると、その項目のチェックボックスの状態を変更できます。
これらの操作で箇条書きを始めたら、まず1項目目の内容を入力します。 Enterキーの押下で次の項目が追加され、続けて入力を行えます。 なにも入力せずにEnterキーを押下すると、箇条書きが終了します。 項目内で改行する場合は、Shift + Enterキーを押下します。
箇条書きの項目は複数のレベルにネストできます。 Tabキーを押下すると、項目のレベルを1段階深くできます。 Shift + Tabキーを押下すると、レベルを1段階浅くできます。
他の文書やWebページへのリンクを挿入できます。
メニューバーから、以下の順に選択してリンクを挿入します。
挿入→リンク
Ctrl + Kでも同じダイアログが開きます。
このダイアログを用いると、同じドキュメント内の見出しなどへのリンクを張りたいときや、リンクのテキストを指定したいときに便利です。
単純にURLを記載したいだけのこともありますが、このような場合はURLを入力してスペースまたはEnterキーを押下すると、そのURLがリンクになります。
リンクに対しては、後述するポップアップからいくつかの操作を行えます。 例えば、入力したURLを、そのURLが指すページのタイトルに置き換えるといったことができます。
文書中のリンクを開きたい場合は、Alt + Enterキーを押下します。
ここでは、比較的よく使われる機能について紹介します。
リンク、画像、ブックマークとスマートチップは、マウス・ポインターをその上に移動するとポップアップが表示されます。 このポップアップから、追加の操作を行うことができます。
ポップアップにアクセスするには、対象のリンクなどにカーソルがある状態で、Ctrl + Alt + E Ctrl + Alt + Pを押下します。 その上でTabキーを押下すると、ポップアップ内の項目に順にフォーカスを移動できます。 目的の項目にフォーカスがある状態でEnterキーを押下すると、その操作が実行されます。
文書の任意の位置にブックマークを設定できます。 ブックマークを設定すると、その位置に簡単に移動できるようになります。 また、その位置にカーソルがある状態で文書を開くリンクを作成することもできます。
メニューバーから、以下の順に選択してブックマークを挿入します。
挿入→ブックマーク
ブックマークは、ポップアップから操作することで、そのブックマークへのリンクのコピーと、そのブックマークの削除ができます。
スマートチップは、文書にユーザー、日付、ファイルなど、様々な要素を挿入するために用いられます。
メニューバーから、以下の順に選択してスマートチップを挿入します。
挿入→スマートチップ
また、@(アットマーク)を入力すると、スマートチップの挿入ダイアログが表示されます。 このダイアログでは、基本的に上下矢印キーで項目を選択し、Enterキーの押下で選択した項目を挿入できます。
日付など、よく使われるスマートチップについてはメニューバーからの挿入が分かりやすいかもしれません。 一方、@の入力で表示されるダイアログには、メニューバーからの挿入には表示されない項目も含まれているので、使い分けるとよいでしょう。
スマートチップ上にマウス・ポインターを移動すると、そのスマートチップの種類に応じて追加の情報の表示や追加の操作ができるようになりますが、キーボード操作時には、そのスマートチップを選択した状態にすることで、同様の操作を行うことができます。 左右矢印キーによるカーソル移動時には、そのスマートチップ全体が1文字のような挙動になりますので、選択する際は、Shiftキーを押しながら左右矢印キーのどちらかを1度だけ押下します。 選択した状態でポップアップにアクセスすると、追加の情報の表示や追加の操作が行えます。
Googleドキュメントでは、1つのファイルをふくすうのセクションに分割する機能があります。 2024年10月に追加された「タブ表示機能」と呼ばれるこの機能を使うと、長い文書をセクションごとに別のページ(タブ)に分けて管理できます。
新規ファイルを開いたときは、1つだけタブがある状態で、特にタブの存在を意識する必要はありません。 複数のタブがあるファイルの場合、ファイルを開いたときに表示されたタブだけを閲覧、編集できる状態になります。 別のタブに切り替えるには、後述する「概要の表示」を用います。
文書内での移動には、キーボード・ショートカットを用いる方法と、「概要の表示」を用いる方法があります。
以下によく利用されるキーボード・ショートカットを示します。
操作 | ショートカット |
---|---|
次のブックマークへの移動 | Ctrl + Alt + N Ctrl + Alt + B |
前のブックマークへの移動 | Ctrl + Alt + P Ctrl + Alt + B |
次のリンクへの移動 | Ctrl + Alt + N Ctrl + Alt + L |
前のリンクへの移動 | Ctrl + Alt + P Ctrl + Alt + L |
次の画像への移動 | Ctrl + Alt + N Ctrl + Alt + G |
前の画像への移動 | Ctrl + Alt + P Ctrl + Alt + G |
次の表への移動 | Ctrl + Alt + Shift + N Ctrl + Alt + Shift + T |
前の表への移動 | Ctrl + Alt + Shift + P Ctrl + Alt + Shift + T |
次の見出しへの移動 | Ctrl + Alt + N Ctrl + Alt + H |
前の見出しへの移動 | Ctrl + Alt + P Ctrl + Alt + H |
次のレベル1の見出しへの移動 | Ctrl + Alt + N Ctrl + Alt + 1 |
前のレベル1の見出しへの移動 | Ctrl + Alt + P Ctrl + Alt + 1 |
次のレベル2の見出しへの移動 | Ctrl + Alt + N Ctrl + Alt + 2 |
前のレベル2の見出しへの移動 | Ctrl + Alt + P Ctrl + Alt + 2 |
次のレベル3の見出しへの移動 | Ctrl + Alt + N Ctrl + Alt + 3 |
前のレベル3の見出しへの移動 | Ctrl + Alt + P Ctrl + Alt + 3 |
次のレベル4の見出しへの移動 | Ctrl + Alt + N Ctrl + Alt + 4 |
前のレベル4の見出しへの移動 | Ctrl + Alt + P Ctrl + Alt + 4 |
次のレベル5の見出しへの移動 | Ctrl + Alt + N Ctrl + Alt + 5 |
前のレベル5の見出しへの移動 | Ctrl + Alt + P Ctrl + Alt + 5 |
次のレベル6の見出しへの移動 | Ctrl + Alt + N Ctrl + Alt + 6 |
前のレベル6の見出しへの移動 | Ctrl + Alt + P Ctrl + Alt + 6 |
概要の表示機能を使うと、文書中の見出しやタブを一覧表示し、そこから目的の箇所に移動できます。
Ctrl + Alt + A Ctrl + Alt + Hの押下で概要の表示領域にフォーカスを移動できます。 このとき、すでに概要が表示されている場合は、概要にフォーカスが移動します。 まだ表示されていない場合は、「タブとアウトラインを表示、2 個のタブ」というようなボタンにフォーカスが当たりますので、Enterキーを押下して概要の表示を開きます。
概要が開くと、タブの一覧にフォーカスが当たった状態になります。 (タブが1つしかない文書でも同じ挙動です) タブの一覧では、上下矢印キーでリスト内を移動できます。 現在表示されているタブ以外のタブでは、「選択無し」という読み上げがされ、Enterキーを押下すると、そのタブに切り替わって文書編集領域にフォーカスが移動します。
タブの一覧でTabキーを押下すると、現在表示されているタブに対する操作をするためのメニュー・ボタンにフォーカスが移動します。 このメニューには、複数のタブの順序を調整するための項目などがありますが、この中に「概要の表示」があります。 もしすでに概要が表示された状態になっている場合は、「概要を非表示」と読み上げられますので、この場合はTabキーを押下して見出しの一覧に移動します。
概要がまだ表示されていない場合は、上記メニューで上下矢印キーを使って「概要の表示」を選び、Enterキーを押下します。 概要が表示されて、文書編集領域にフォーカスが移動しますので、サイドCtrl + Alt + A Ctrl + Alt + Hを押下して概要の表示領域にフォーカスを移動します。 Tabキーを何度か押下して見出しの一覧にフォーカスを移動します。
見出しの一覧には、文書中の見出しがリスト表示されています。 リスト内を上下矢印キーで移動し、目的の見出しの上でEnterキーを押下すると、文書編集領域のその見出しの箇所に移動します。
Googleドキュメント、Googleスプレッドシート、GoogleスライドなどのGoogle Workspaceのアプリケーションでは、複数のユーザーでの共同作業が可能です。
共同作業を行う場合、まずファイルを関係者で共有します。 その上で、必要に応じてコメントのやり取りをしたり、提案モードでの編集を行ったりすることができます。
ファイルを共有するには、ファイルを開いている状態で、ファイル・メニューの「共有」を選択して、共有設定のダイアログを開きます。 また、Googleドライブ上でファイルを選択し、コンテクスト・メニューから「共有」→「共有」を選択してもこのダイアログが開きます。 (ショートカット・キーはCtrl + Alt + A) このダイアログの使い方については、第3章で詳しく説明しています。
Googleドキュメントでは、コメント機能を使って、文書の特定の箇所に対してコメントを追加できます。
コメントを追加するには、コメントを追加したい部分を選択して、Ctrl + Alt + Mを押下します。 (なにも選択されていない状態ではコメントは追加できません) コメント入力のダイアログが表示されて、コメント入力欄にフォーカスが移動しますので、コメントを入力します。
コメントは複数行入力できます。 コメント入力中のEnterキーの押下で改行されます。 コメント入力が終わったら、Tabキーを押下して「コメントを追加」ボタンにフォーカスを移動し、Enterキーを押下してコメントを追加します。 または、Ctrl + Enterキーの押下でもコメントを追加できます。
コメント入力中に@(アットマーク)を入力すると、コメントにメンションを追加できます。 @に続けてメール・アドレスや名前の一部を入力すると、候補が表示されますので、その中から上下矢印キーで選択し、Enterキーを押下して確定します。 メンションを追加すると、その人に通知が送られます。
コメントを追加した後は、他の人が追加したコメントを確認したり、返信を追加したりすることができます。
以下のショートカット・キーを用いると、文書内でコメントがある箇所に移動できます。
- Ctrl + Alt + N Ctrl + Alt + C:次のコメントへの移動
- Ctrl + Alt + P Ctrl + Alt + C:前のコメントへの移動
こめんとがある箇所に移動したら、Ctrl + Alt + A Ctrl + Alt + Cの押下でその箇所にあるコメントをまとめて読み上げることができます。
また、Ctrl + Alt + E Ctrl + Alt + Cを押下すると、コメントを1件ずつ確認したり、コメントに返信したりするためのダイアログが表示されます。
このダイアログでは、上下矢印キーでコメントを1件ずつ確認できます。 最後のコメントを確認してからさらに下矢印キーを押下すると「入力ペイン」と読み上げられ、ここでTabキーを押下すると、コメントに返信するための入力欄にフォーカスが移動します。
提案モードは、文書の編集内容をコメントとして残すことができる機能です。
提案モードに切り替えるには、メニューバーから以下の順に選択します。
表示→モード→提案
この操作は、ショートカット・キーCtrl + Alt + Shift + Xの押下でも可能です。
また、提案モードから通常の編集モードに戻すには、メニューバーから以下の順に選択します。
表示→モード→編集
ショートカット・キーはCtrl + Alt + Shift + Zです。
提案モードで編集を行うと、編集前の状態と編集後の状態の両方が表示され、その部分に編集内容がコメントとして残ります。 簡単な誤字の修正程度であれば、スクリーン・リーダーでも問題無く操作できますが、複雑な修正になると編集前の状態と編集後の状態を理解するのが難しくなります。
共同作業をしている人からの提案があった場合は、以下の方法で提案を確認できます。
まず、以下のショートカット・キーで提案があった箇所に移動します。
- Ctrl + Alt + N Ctrl + Alt + U:次の提案への移動
- Ctrl + Alt + P Ctrl + Alt + U:前の提案への移動
提案箇所については、削除マークや挿入マークで示されていて、NVDAでも読み上げられますが、前述の通り複雑な修正の場合、正確に提案内容を理解することが難しくなります。 コメントの読み上げ(Ctrl + Alt +A Ctrl + Alt + C)を実行すると、ある程度分かりやすく提案内容を確認できる場合もあります。
提案がある箇所でCtrl + Alt + O Ctrl + Alt + Uを押下すると、提案に対する操作を行うためのダイアログが表示されます。 このダイアログで提案の承認や拒否ができますが、これに加えてすべての提案を承認した場合と拒否した場合それぞれについて、どのような状態になるのかをプレビューできます。 Tabキーで「提案のプレビューリスト」までフォーカスを移動してから、下矢印キーで「[すべて承認]の結果をプレビュー」または「[すべて拒否]の結果をプレビュー」を選択し、Enterキーを押下してプレビューを表示します。 プレビューの確認が終わったら、再度Ctrl + Alt + O Ctrl + Alt + Uを押下してダイアログを表示した上で、このダイアログを閉じると、プレビュー表示が終了します。
複数人で同時に編集操作をしていると、他の人が編修中であることが分かるような通知が表示され、NVDAでもも読み上げられます。 この通知で、今自分が編集しようとしている箇所を他の人が編集中であるといったようなことが分かるため、 編集の競合を避ける上で役立ちます。
その一方で、単にドキュメントの内容を確認したいだけのような場合には、この通知がドキュメントの読み上げの妨げになり、煩わしく感じられることもあるでしょう。 このような場合は、以下の手順で共同編集の通知をオフにできます。
- メニューバーから「ツール」→「ユーザー補助」の順に選択
- Tabキーを押下して「共同編集者の通知をオンにする」ボタンにフォーカスを移動
- 「共同編集者の通知をオンにする」のチェックボックスのチェックを外す
- Tabキーを押下して「OK」ボタンにフォーカスを移動し、Enterキーを押下して設定を保存